2009年9月3日木曜日

銘機

銘機というのは、このCONTAX Tのようなカメラのことを云うのでしょう。

現在RICOH GR Digital IIに代表される「高級コンパクト」というジャンルは、1984年発売のCONTAX Tによって作られました。ヤシカを買収した京セラが、初めてCONTAX名義で発表したカメラで、デザインはポルシェデザインが手がけています。

カールツァイスのSonnerT* 38mm F2.8、マニュアルフォーカス、絞り優先AF、距離計連動ファインダー、沈胴式レンズ...、大型高機能か小型お手軽カメラかの二極化が進む業界を、一笑に付すパッケージでした。

ちなみに商業的には全く成功せず、アッと云う間に製造中止になります。高価だったので当時はとても手が出ず、大学生の時に奨学金を注ぎ込んで、中古を買いました。

このカメラだけをポケットに入れて毎年京都へ行っていました。
朝夜行バスが着くとその足で蹴上から大徳寺南大門へ行き、朝日に浮かび上がる紅葉を南大門を撮ろうとした時、腕程の太さの三脚に大判カメラを取り付けたおじさんが「おい、良いカメラ持っているなぁ。ここからがベストアングルだぞ」と場所を譲ってくれました。

一般的には知られていませんが、マニア垂涎の一品です。

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